地図を広げてキミに会いにいく

 はぁ〜い、蘭。元気してる? 園子です。
 この手紙を読む頃には多分もうバレちゃってるだろうけど、わたし、今アメリカに来ています。別に蘭に内緒にしようなんて思ってたわけじゃないんだよ?ただ、何となく言い出しにくくてさ。
 わたしはね、やっぱりダメなのよ、待ってるだけなんてさ。
 いい男なんて周りにいっぱいいるんだから。わたしすぐによそ見しちゃうんだって。軽薄なのよね。どうしようもない。だからね。そばにいてくれなきゃダメなの。我侭なのよ。
 蘭みたいにはなれない。
 別に蘭を非難するわけじゃないけど、…わたしはね、蘭を見てていつも思うの。もっと我侭になったらいいのにって。もっと正直になって新一くんにホントの気持ちぶつけたらいいのにって。
 蘭のことなのに、わたしの方が腹が立ってくる始末。工藤くんのバカヤローってね。
 ねぇ、なんで言わないの?…言えないの、かな?
 わたしにはわかんないよ。
 ごめん。勝手なことばっかり書いた。
 でも、わたし、蘭には笑ってて欲しいんだ。なんかさ、時々蘭って無理して笑ってる。さびしいの隠して笑ってる。そんなのわかるんだよ? 何年親友やってると思ってんの?
 ただ笑ってて欲しいだけなんだ。…ってそのためには工藤くんに帰ってきてもらうしかないんだよね。わたしに何も出来ないことがとってもくやしいんだ。
 あ、そうだ。こちらに来たときの話をするね。
 夏休みの真ん中に思い立ってこっちに来たの。蘭はその頃どうしてたっけ。あ、沖縄に旅行中だったのかな?
 だってさ、真さん夏休みだって帰って来ないんだもん。蘭もいないし…退屈だったんだよね。
 だけど飛行機に乗った途端にドキドキしてきちゃった。
 いきなり押しかけて行って迷惑そうにされたら嫌じゃない?
 彼の住む町なんて、もちろんはじめてでバスに乗って歩いて歩いて。地図を片手にホントよくたどり着けたと思うのよ。
 ま、これがホラ愛の力ってヤツ?(笑)
 でね、なんとか住んでるアパートの前まで来てインターホン押して。心臓飛び出しそうなくらい緊張して待って。…でも出てこない。いないのかな?って、どうしよう?って思って振り返ったら、…そこにいたんだよね。もうその顔見た途端号泣。何をどう説明したのかも忘れちゃったわ。
 だけどね、顔を見てホッとしたなぁ。ここにいるって確かめられただけで、なんか安心した。それに、一人で地図を片手にここまで来ただけに、一気に緊張の糸が緩んだ感じ。
 それでね、うーん、そばにいるのがいいなってやっぱり思ったわけよ。もうここにいるって決めちゃった。
 決めたら即行動だからね。色々手続きしてホームステイ先決めて学校探して。
 そんなわけで、しばらく蘭に会えないことだけが心残りなのよね。
 わたしがいなくても泣いちゃダメだよ。…なんて蘭に言っちゃいけないよね。
 わたしがいなくてさびしいでしょ?悲しいでしょ? もう豪快に泣いてくれ!! わーわー泣くんだよっ。我慢なんてしなくていいんだからさ。
 だけど、また一年したら帰るから。離れてても友達だから。ね? だからさ、泣いたあとには笑ってね。
 新一くんのことだってそうだよ、一緒だよ。
 さびしいときには泣こうよ。無理しないでさ。
 愚痴りたい時には、そうだなぁ、ホラ、そこに生意気なガキんちょもいることだしさ、(あ、コナンくんのことね)その子に全部吐き出しちゃえ。ガキんちょにはいい迷惑だろうけどさ。
 ああ、もう…、すでにわたし半分くらい後悔。蘭に会えないのはわたしがさびしいのよっ。
 さびしいときはわたしを呼んでね。飛行機飛び乗って蘭に会いに行くから。急いで会いに行くから。
 じゃ、ね。また手紙書くからね。バイバ〜イ!!

おしまい


*原作無視な設定で失礼しました。

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