Communication byななみん
「ねぇねぇ。園子ってさ、いつも京極さんとどんな話ししてるの?」
「え?」
「だってぇ。なんか想像できないんだもん」
…わたしと真さん?…いつも何の話ししてるんだっけ?
たまたま昨日かかってきた電話の様子を思い出してみる。
『でさ、すっごく可愛いお店見つけてね。蘭と一緒に…』『アメリカから来た
英語の先生がカッコいいのよねェ』『うちの姉貴がさぁ……』
あ。わたしばっかり話してる。しかも、ものすごくツマラナイ話し。それでも真さんは「うんうん」と何度も相槌をくれて、可笑しい話しには笑ってもくれた。
だけど。…ホントに楽しいのかなぁ。わたしと話してて。真さん、やさしいから、電話切りたくても切るに切れずに困ってたんじゃ…?ホントにわたしでいいのかなぁ。わたしなんかでいいの?考えれば考えるほど不安が募っていく。
「どうしたの?園子」
「あ、ううん。なんでもない。じゃ、蘭は新一くんといつも何話してるのよ?」
「え?新一と?…そうねぇ、つまんない話しばっかだよ。学校のこととかクラブのこととか。アイツは最近読んだ推理小説の話しとかね……」
「で、新一くん、蘭と話してて楽しそう?」
「さぁ、どうかなぁ。適当に相槌打ってくれるけど…。でも電話じゃねぇ?」
と、そこへ。学校帰りのコナンくんと遭遇した。
何気なく蘭とコナンくんの会話を盗み聞き。
ふむふむ。…今晩のおかずは何がいい?今日の宿題は何?また欠伸して。遅くまで本読んでたんでしょ?…ははは、これまた他愛ない。
だけど。なんなんだろう?あのコナンくんのうれしそうな顔ときたら。まるで…そう、まるであんたたち恋人同士みたいだよ?
そんなコナンくんの腕をひょいと掴んで耳打ちする。
「ねぇ、コナンくんってさ、蘭と話しててそんなに楽しい?」
悪戯っぽく聞いてみる。
「な?なんでそんなこと…」
おっ?耳まで赤くなってる。
「だって、すごくうれしそうなんだもん。蘭のこと好きなんだぁ」
茶化すようにニッと笑った。
「なになに?」
すると蘭が不思議顔でこちらに詰め寄って来た。
「ななななな、なんでもないよ…蘭ねーちゃん…」
コナンくんは困ったようにじたばたする。うん?こりゃ、マジ?
「ふ───ん」
わたしは一人で納得した。
ただ相槌打つだけでも、その顔を見ればわかるんだよね。その気持ち。会って顔を見れば。顔さえ見れば───。
その晩、わたしは考えていた。真さんと話すとやたらとおしゃべりになるのは何故なのか。…それは、誤魔化してるから?ホントに言いたいこと呑み込んでるから?
電話しよう。言いたいことをちゃんと伝えよう。そして聞かなくちゃ。
RRRR…
―――もうすぐゴールデンウィークなんだ。でもそっちは違うのかなぁ。
…だって電話だけじゃわかんないんだもん。ちゃんと顔が見たいんだもん。ねぇ、会いにいっていいかな?―――
ほんの少しの勇気を、わたしにください。
RRRR…
fin
*某所にてボツにしたものです。ま、でもわたし的に気に入ってる箇所もあるので(笑)、こちらにアップしました。(ななみん)
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