以前、某ウラページに投稿したものです。そこも閉鎖になって、公開する機会もなくなったのでココに。
そうそう、こんなところでナンですが、遠野は実はわたくしでした。いつかどなたかに当てて欲しかったのですが、これを当てた方はたった一人。(ノアさんだけなのですよー。スゴイ!)遠野のキャラはわたしとは違うから、あんまり自分からはいいたくなかったりして。ここだけのハナシ、もう風丘を名乗るのもいやになりつつある・・・。


 

「フレンズ」

 11月の陽射しはとても心地よい。眩しすぎるので、カーテンを閉めて。
 

 新一の部屋で、テーブルを挟んで向かい合わせに座って勉強している。
 受験まであと数ヶ月。時々、こうして二人で勉強するために、新一の部屋を訪れている。
 だけど、そのうちの数回は、流れにまかせて新一に抱かれていた。
 受験生なのに。こんなことしてる場合じゃないのに。そう思っても拒否できないでいる。それどころか、何もない日には寂しささえも覚える。…なんてわたし、いやらしいの…。

 新一は、そんなわたしの気持ちを知ってか知らずか、今日も素知らぬフリで教科書、参考書とにらめっこだ。
 ああ、余計なこと考えちゃ、駄目駄目。
 それに、今日はわたし、どうせ受け入れられない日だもの。こんな日にまで、妙な妄想してしまう自分が恥ずかしいと思う。
 …にしても、新一は男の子なのに。どうして、もっと欲しがらないの?…よくわからないけど。わたしだけが異常なのかしら、とさえ思う。
 わたしは…いつだって触れ合っていたいし、抱かれたいと思ってしまう。いや、ただ抱きしめ合うだけでもいい。甘いキスだけでもいい。
 なのに、何もしない日は、新一はいたってクールで、キスも軽くて物足りなくて。

 ああ、もう…やめやめ。

 と、頭をコンコンと小突いてみた。すると、そんなわたしに気づいた新一が、
「どうした?」
 と聞く。仕方がないから英語の教科書を適当に開いて見せて
「えーっと、ここがね…。」
 などと問題が解けないフリで誤魔化した。
 新一は、英語ならまかしとけ、と言わんばかりに隣に座り、解説をはじめた。
 だけど、そんな声など聞こえない。わたしは新一の横顔を漠然と眺めていた。凛々しい眉毛、長いまつげ、高い鼻、くっきりとした目、鋭い目。黒い髪、首筋、広い肩、鉛筆を握る繊細な指。新一の姿をたどる。そして、その姿にドキドキしながら、「わたし、新一がすごく好きだわ」と
あらためて思い知る。
 思わず、そのくちびるにキスした。とても唐突に。
 驚いた新一が、頬を少し染めてわたしを見つめ返す。その熱い目を見て、とても後悔した。
「ごめん…わたしったら、なにしてるんだろうね。」
 誤魔化しても駄目。
 新一は、止まらなくなっている。くちびるを強く押し当てられ、更に胸を探る手。
「ごめん…ホントにごめん…。わたし、そんなつもりじゃ…。」
 言っても、くちびるを奪われると、素直に制服のブラウスのボタンははずされてしまう。
「新一…今日、わたしできない…。出来ない日だから…。」
 はっきりと伝えてみる。すると、新一の手が止まる。
「…あ、そうなんだ…。ごめん、オレ、つい…。」
 謝るのはこっちの方なのに、新一がバツの悪そうな顔をしている。そして、すぐに怯むその姿を
 見ると、新一はさほど、わたしを抱きたくないのかしら、と少し悲しい気持ちになってしまう。
「ごめん…わたし、新一見てたら、ついあんなこと…。」
「オレ、なんか勘違いしたみたいで、悪かったな。」
 謝らないで。そんなの、なんか寂しすぎるよ…。いつのまにか頬に涙が伝わるのがわかった。
「お、おい、蘭。なんで泣いてる?」
 なんで涙が出るのか自分でもわからない。新一がそんなわたしを抱きとめ、頭を撫でる。
「ごめんな、蘭。オレ、あれから…おまえを最初に抱いた日から、ずっとおまえのことばっかり、おまえを抱くことばっかり考えちまうんだ。ちょっとでも触れたら抑えきかなくて。スケベなんだよ、基本的に。…でも、こんなことじゃいけないってこれでも我慢してんだぜ。」
 …そうだったんだ。だから、やたらクールにわたしと接してたの?よかった。新一もそうだったんだ。
「違うの…新一。」
 一呼吸置いて、
「わたしも新一と同じ。わたしも…。」
 愛しくて、またキスしてしまう。
「でも、出来ないんだろ?」
 困ったような顔になる新一。
 出来ない、出来ない、出来ない。どう考えても…。
「ごめん…。」
 すると、新一が悪戯っぽい目で言う。
「でも、ひとつだけ、いい?」
「なに?」
「触るだけ…。」
 言うが早いか、すでに手が伸びている。先ほど、ボタンはすべてはずされ、ブラジャーもあらわになっていた。抱き上げられてベッドに降ろされる。
「胸、だけだよ…。」
 そう言って新一に身をまかせる。触れられ、敏感になる胸の先端。くちづけられて、思わず声が漏れる。
「ここ、感じるの?」
 問われて恥ずかしくなる。だけど、更に舌先で責められると息も荒くなる。微かに漏れていた声も喘ぎ声と変わっていく。こんなに、こんなに感じてる。…だけど、今日は受け入れられない。新一を気持ちよくは、してあげられないの。
「新一…わたし、どうしたらいい?」
 さりげなく新一の男の部分に触れると、すでに固く逞しくなっている。
「手で、してくれる?」
「え?」
 手を取られ、その部分を握らせられる。そして手を添えたまま前後に…。教えられたままにそんな動作を繰り返し、新一の様子を見る。
「あのな、蘭。これって意外とデリケートなんだぜ。もっとやさしく。な。」
「ご、ごめん。だって、わかんないんだもん…。」
 しばらくして、
「ごめん…。蘭にこんなことさせて悪かったよ。風俗嬢じゃあるまいしな。」
 そう言って手を離そうとした。
 なんだか、とても悲しい。
「いやだ、新一…。わたしだから、してもいいんでしょ?ほかの人にこんなことされちゃ、やだからね…。」
「蘭…。」
 どうしたら新一を気持ちよくしてあげられるの?わたしが、だって、わたしがしてあげたいんだもの。
 再び、また新一の愛しい部分に触れる。ゆっくりとやさしく。
 そのうち、思い余ったように、それにキスした。
 新一がビクリとするのを見ると、今度は、そっとそれを口に含んでみた。
「ら、蘭…。そんなこと…。」
 手でした動作を、口を滑らせ繰り返す。
 新一の声が、漏れるのを聞く。新一の手がわたしの頭を撫でる。
 これでいいのかわからない。でも新一のためらいがちに漏れる声がうれしい。いっしょにわたしも感じてる。
「いいの?」
 思わず聞いてしまう。
「うん、すっごく、いい…。」
 新一がそう答えるから、わたしは更に続ける。時々、舌先でそのカタチを確かめながら。
 なんだか、いつもと逆ね。女の子はずっと受身だと思ってたけど、違うんだ。
 こうやって、新一の顔を見るのはとてもしあわせなことだとはじめて知った。わたしが新一を行かせてあげる。
 
 その瞬間、新一は軽くうめき。
 しばらくして、わたしの口の中が新一の液体で溢れた。
 …これ、どうしたらいい?飲み込んじゃう?迷っている間もなく、喉を通り過ぎて行く。…飲んじゃった。
「あー、蘭、悪い!」
 でも、とても困ったわたしは、とりあえず洗面所に駆け込んだ。
 ああ、びっくりした。
 口をすすいで、鏡に映る自分の顔を見た。さっきまでしていた大胆な行動を思い出して恥ずかしくなる。
 部屋に戻ると、新一はベッドでまだ、寝転がっている。さすがに毛布をかけてはいるが、下着はつけていないのだろう。
「蘭もこっち来る?」
 毛布をめくって招き入れようとしている。チラと先ほどまで顔を埋めていたそれがそこにあって赤面する。
「でも、制服、しわになるから…。」
「そっか?残念…。」
 それでもベッドの傍らに座ってみる。
「もっとこっち来いよ…」
 新一が引き寄せ、くちびるを合わせる。
「さっきの蘭…、最高だったよ。」
 耳元で囁かれて、心臓が破裂しそうになった。
「もう、やだ…新一ったら…。」

 二人でいるとしあわせだった。新一の笑顔が大好きで、新一がしあわせなら、わたしもしあわせだと感じる。だから、あんなことをもしてしまった。
 そんな自分が怖い。更に、これからの自分を考えると、とても怖かった。
 肌と肌を合わせないではいられなくなることが。いつでも触れ合っていたいという欲望が心を占めることが。

 これはいけないことじゃないよね?わたしも新一もお互いに好きなんだから。
 それでも、横切っていく。両親の顔、学校の友達の顔。考えてしまう。受験のこと、進学のこと、もっとずっと先のこと。

 戸惑っている。わたしはオトナ?オトナになったの?
 それとも、心だけがオトナになれないでいるの?
 戸惑う理由もわからない。
 ねぇ、新一。新一には迷いはないの?

 外はすでに夕暮れて、冷たい風が窓を叩いていた。

fin


「フレンズ」は、映画のタイトルから取りました。知ってますか?14才と15歳の二人が家出していっしょに暮らし始めて、あかちゃんが出来て自力で産んで。ラストは男の子の方の親が居場所探し当てて、男の子だけ連れていかれる…という切ないお話。更に「フレンズ2」では、それから数年(一年〜二年)後、再会して…という話なんだけど、これもラストには別れ、すれ違いが待ってた(と思う、確か)…そんな結局切ない話なんだけど。すっごく古い映画で、その頃は結構衝撃の内容だったと思う。(わたしが小学校の頃見たかな)その頃というと、ほかに「小さな恋のメロディ」なんてのも日本ではすごくウケてて、多分に漏れずわたしも大好きで、そういうピュアなものとは「フレンズ」ってのは対照的だった。でも、「フレンズ」…印象的な映画でした。あ、ひょっとして「フレンズ」といえばあの歌の方を思い出してたりして…?(ななみん)