コスモポリタン by華■


(イラスト・きまさまよりいただきました。)

数年後、いつかの約束通り、真は道場を開いた。
最後の試合をも、優勝で締めくくった
真の武道家としての実力と名声は弟子たちの誇りでもあった。
そして、彼らは、また、真の男としての姿にも感銘を受けていた。
道場には、おんぶひもで子供をくくり、
弟子たちを指導する真の姿がいつもあった。

そして、夕方5時近くなると、
この道場の誰もがそわそわし始める。
もちろん、真も例外ではない。
5時ちょうどに、必ず、真の携帯が鳴るのである。
もちろん、電話は園子から。
そして、真は、
弟子たちが聞き耳を立てていることにも気づかないほど
園子との会話に熱中してしまうのである。

「だめですよ、園子さん、みんなが聞いていますから。
…もぅ…いつも家で言っているじゃないですか…
今日だけですよ…///アイシテイマス///」

もちろん、真が、これを言うか言わないかは、
弟子たちの賭けの対象にはならない。
なぜなら、真は毎日、そう言わされているからである。



おしまい

top