ディテクティヴ☆ガール
☆アンド☆ボーイ
<恋ふたたび
サイドストーリーおまけ>
作・華 |
志保の出産と前後して、歩美が出産した。
志保の子は、女の子で「愛」、歩美の子は男の子で「コナン」。
志保は、キャリアを捨てる気持はなかったが
自分が肉親の愛情薄く育ったため、
1年間育児休暇を取る決断をした。
一方、歩美は自分のキャリアを築く大切なときである今、
産休もそこそこに、仕事に、そして、司法試験の勉強に没頭していた。
歩美は保育園へ子供を預けていたが
夜遅くなることの多い仕事柄、迎えに行くのは元太で、
その足でいつも博士の家へ寄っていた。
志保と光彦は、博士と同居していた。
博士もまた、ひとり暮しが長く、家族の愛情を忘れかけていた人だ。
しかし、寄る年波には勝てずに、淋しさを募らせていたのである。
志保のことを本当の娘といってもいいほど、愛情をもって慈しんでいた。
週末、元太は顧問を務める野球部の練習試合があるので、家にはおらず、
歩美は、いつもコナンを預けがてら博士の家へ来て
試験のための勉強をしていた。
志保も光彦が休みの週末を自分の時間に当てていた。
最先端の研究の情報に遅れないために。
そんなわけで、週末は、光彦と博士が愛とコナンの面倒を見ていた。
2人の赤ん坊は、双子ではないが、とにかく一緒に過ごす時間が極めて長く、
いつしか、不思議な結びつきを持つようになっていった。
あるとき、愛が風邪をひいていたので、うつしてしまうといけないからと、
コナンを隣の新一の家へ預けたことがあった。
しかし、泣き止まず手におえず、仕方なく連れかえって、愛の隣に寝かすと、
2人はにっこり笑い合った(ように見えた)。
だから、毎日のことであるが、コナンが家へ帰るときは、大変であった。
二人は毎日「今生の別れ」の場面を演じてくれた。
最初はオロオロとした大人たちであったが、
慣れてくると皆の笑いを誘うようになっていった。
なにしろ、毎日のことであるから…。
歩けるようになると、二人は、早速、博士の家の探検を始めた。
好奇心の塊は、愛。
自分の家ではあったが、危険であるという理由で、
地下室や2階へ通じる階段には、柵がつけられていた。
行きたくてたまらなかったが、それを開ける悪知恵と行動力が欠けていた。
しかし、愛にはそれを補ってくれるステキなナイト君がついていた。
それは、もちろんコナン。
オトナがを開けるのをじっと見ていて開け方を覚えた彼は、
光彦と博士が昼寝をしている週末の午後、まず、地下室探検を決行した。
2人は、おむつのおしりをふりふりさせながら、
一段一段階段を降りていった。
あと一段というところで、愛が自分のズボンのすそを踏んでしまい、
バランスを崩してしまった。
先に降りていたコナンは、滑ってくる愛をしっかりと受けとめた。
そこまではよかったが、それは赤ん坊のこと。
怖かったのとビックリしたのとで、大声で、泣いてしまった。
もちろん、昼寝をしていた光彦と博士は、歩美と志保にこってりと絞られた。
しかし、こんな失敗であきらめる彼らではなかった。
博士の家での探検で相当数の戦利品を獲得していた。
昔、元太がなくした探偵バッチや博士の眼鏡、
果ては、新一が小さい頃遊んでいたくまのぬいぐるみまで。
1歳になると愛も保育園へ通うようになった。
ここで、コナンは、独占欲の強さを発揮するようになる。
なにしろ、おトイレへ行くときにも愛の手を離さない。
先生が席を決める前に、2人は隣同士、お昼寝のお布団も隣同士。
そして、愛が誰かにこずかれようものなら、
普段はおっとりとしているコナンが、大変な剣幕で向かっていった。
どんなに大きな子に対しても。
2歳になる頃には、博士の家の探検はほぼ終了し、
彼らの探検の舞台(標的)は、隣の工藤邸へと移っていった。
ここは、さすがに広くやりがいがあった。
しかも、子供好きの大人が揃っているので、
彼らのために、謎解きやトラップなど、いろいろな遊びを用意してやっていた。
字を読めるようになった彼らが熱中したのは、
優作ジジがストーリーを書いてくれる、オリエンテーリング。
毎週、コナンと愛のところにそれぞれ、メールが送られてくる。
その文章をつき合わせて、まず、そこに隠されたキーワードを探す。
すると、そこに、今週の地図が隠されているという仕掛けだ。
単純なゲームだが、いろいろなオトナが、協力して遊ばせている。
愛とコナンのチームワークは絶妙で、大人たちを感心させていた。
細かい謎解きは愛の緻密な思考が、決断や行動はコナン。
このゲームは大人たちの楽しみともなっていった。
そして、なんといっても、微笑ましいのは、コナンのナイトぶりだ。
博士は遠い昔の子供たちの姿に思いを馳せていた。
コナンは腕っ節が強くて大らか、愛はおませなしっかり者。
新一と蘭ではない。
小五郎と英理の幼い頃の姿が、彼の脳裏にはっきりと蘇っていた。
コナンと愛は、今日も手をつないで小学校から帰ってきた。
そして、歩美先生と志保博士は、今日も明日も忙しい。
おしまい
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